恋の夢空間

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甘いため息2

  25, 2017 20:00
甘い吐息1-0-Top 
2



「じゃあ、撮るわよ」
撮られている間千衿の姿を見るともなく見るという風にしながら、実はじっくり見る。

今日は髪をおろしている。豊かで艶々とした髪の毛だ。
指を入れて梳いてみたい。

ラフな木綿の白いシャツブラウスにジーンズの短パン。
すらりとした長い脚を惜しげもなく出している。
化粧もしているんだかしていないんだか、色白なのでしなくても綺麗だ。
頬がほんのり桃色に染まっているのは、何かを夢中でしている時の千衿だからだ。
唇も淡いペールピンクって言うのか? 
ルージュじゃなくてリップかな。

こういうことは、全部千衿が俺に教えた。
二人とも一人っ子だから、姉であり兄であり、弟であり妹であり。
特に俺は妹かっていうくらい、色いろなことを千衿に教わってきたせいで女の子の知識に詳しかったりする。
逆に俺もきょうだいみたいに何でも話してきたから、俺たちにはあまり秘密がない。


あるとしたら、俺の恋心だけだ。
お互いに誰を好きなのかは言わないし聞きもしないから二人とも知らない。
千衿からは宮原っていう大学時代の先輩の名前がちょくちょく出てくる。
それを俺が怪しいと思っているくらいだ。

俺は女の子の名前なんか出さない。出す名前もない。
千衿以外は興味ないんだから。
だのに、千衿は俺が女性に興味が無さ過ぎると言って誂うんだ。
俺の心中をそろそろ察してくれ、と焦れている。


ハッと我に返ると、千衿が声をかけながら俺のジーンズの後ろに手を回していた。
身体が近すぎるだろう。
これじゃあ、まるで抱き合うみたいだ。
「これもう少し下げて中の下着のラインが見えるようにして。前ももっとジッパーを下げてくれないかな」

何でそこまで… 飽くなき芸術魂ってやつか。
千衿の無頓着ぶりにため息が出る。
男心を少しは考えろ。
いくら歳下だからって…

「なぁ、千衿。コンセプトは何だよ。まだ聞いてなかった」
「そうね。『思春期の性の目覚め。青い性欲。制御不能の欲望への憂鬱』って感じかしら」

俺は開いた口が塞がらなかった。
どこの世界にそんな真面目な顔して、そのまんまの奴に向かってそれを見せろっていう女がいるんだ。

ここにいたか…

こういう時かなわないと思うんだ。完敗だ。
いつもならここですごすごと引き下がる。
だが、今日の俺はそうはいかないぞ。

「で、どうなんだ。俺にはそれが溢れまくってるのか」
わざと聞いてやる。

「そうねえ。胸筋と腹筋は前見た時より少し付いてきたから男っぽくなってきてるわね。まだ身体全体が薄いけど、青年になりかけの少年の色気は感じられるわ。背筋はまだまだこれからね。もっとしっかり食べて鍛えるといい身体になるわよ。背は随分高くなったわね。今、何センチになったの」

「180ちょいかな。まだ伸びてる最中だ。上に伸びるばかりでまだ厚みは出ないんだ。ただしこれ以上食ったら腹が出る」
俺の言葉に、千衿はプッと吹き出した。
「今お腹が出たら中年になる前から辛いわね。だけど、1ミリも無駄な肉なんかないじゃない。羨ましいったら」

そのまま笑いを堪えながら、俺のジッパーに手をかけて下げようとした。
「おい、それくらい自分でする。どこまで下げればいいんだ」
「まだ… まだ… そう もう少し」
言われる通りにしていたら、いちばん下まで来てしまった。
これ以上下がるか!

「千衿、もしかして… 今誂ってるだろう!」
「あら、分かった? どこまでするのか興味深かったの。羞恥心はあるのね」
またくすくす笑い出した。
そして、腕を回してジーンズの後ろをもっと下げようとした。

もう我慢ならない。
俺は自分の腕を回して、千衿を抱き寄せ囲い込んだ。

「キャッ! ちょっと芯くん、何するの」
俺はその声を無視して更に腕に力を入れ、ギュッと身体を押し付けて抱きしめた。

「こら… 離しなさいってば」
くすくすとまだ笑っている。
いつまで余裕で笑っていられるつもりだ。

「やだね。先にお礼を貰う」
「何の」

「モデルに決まってるだろう」
「何が欲しいの」

「千衿」

「はぁ~? ば、バカ言わないでよ」
あれ? 千衿の声が上ずっている。

「俺の『思春期の性の目覚め。青い性欲。制御不能の欲望への憂鬱』とやらを写したいんだろ? そういうのはシチュエーションが大切だ。溢れさせるからキスさせろ」
「誂った仕返しをしてるのね。分かったわ。降参するから離して」

「やだ。キスさせてくれるまで離さない」
「大人をからかうんじゃないわ」

「たった4つだ。どれほど違うって言うんだ!」
「芯くん、怒ってるの?」

ー 怒ってるの?
ー ああ、そうさ。この状況に腹が立つのさ。でもどうしようもないだろう。

…とは、意地でも言わない。

「怒るもんか。千衿にキスしたいからさせてと言ってるだけだ」
「どうして。キスしてみたいの」

「興味本位で言ってるんじゃない。千衿とキスしたいんだ」
「だから、どうして。

「えっと… もしかして… そうなの?」
「そうさ。好きだからキスしたい。それだけだ」
ついぶっきらぼうになる。
こんな時こそ、優しく言えばいいのに。

「千衿が俺を嫌いなら諦める。それくらいの潔さはある。俺が嫌いか」
俺は千衿の目を覗き込んだ。
これ以上はないというくらい真剣に。

千衿、気づけ。
お願いだから俺の気持ちに気づいて受け止めてくれ。

「 … … 」
千衿は黙り込んでしまった。

俺は返事を待つあいだ、彼女の髪の毛に顔を寄せてその香りを思いきり吸い込んだ。
そしてこっそり唇を髪の毛に触れた。

キスを拒否されたらもう何もできない。それくらいはしておかないと。
もうチャンスはないと思ったから。

ジリジリして、俺の視界から色が消えて無くなるような感覚に陥っていく。

continued...

甘い吐息1-1-300 

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